先日、NHK の番組、「人体」でミトコンドリア(mitochondria)の働きについてやっていました。
この番組、イレギュラーなので見逃してしまうことが多いのですが、今回15分になった番組でやっていました。
簡単ですが、その番組の内容とミトコンドリアって?ってのを書いていきますね。
ミトコンドリアは、生物の細胞内にあって非常に重要な働きをする「細胞の発電所」のような存在です。
ミトコンドリアとは何か
真核生物の細胞内にある細胞小器官で、細胞質内に存在します。
ミトコンドリアは独自のDNA(ミトコンドリアDNA = mtDNA)を持っていて、ある程度自己複製する能力があります。
進化的には、古い時代に別の生物だったものが細胞内に取り込まれ、共生を始めたという「細胞内共生説」があります。
ミトコンドリアの主な役割
エネルギーの産生(ATP合成)
これが一番有名で生物の授業でのことを私はギリギリ覚えています。笑
食物から得た栄養素(主にグルコースや脂肪)と体内に取り込まれた酸素を使って酸化的リン酸化(oxidative phosphorylation)を行い、
ATP(アデノシン三リン酸)を作る。これが細胞や生命活動の「エネルギー通貨」です。
呼吸・酸素利用
有酸素呼吸のプロセスにかかわり、細胞に酸素を使わせることでより効率よくエネルギーを取り出します。
活性酸素の発生と酸化ストレス
ATPを作る過程で副産物として活性酸素(Reactive Oxygen Species, ROS)が生じます。
通常は制御されていますが、ミトコンドリアがうまく機能しないとこの活性酸素が過剰になり、細胞やミトコンドリア自身、さらにはDNAなどを傷つける原因になります。
これが「老化」や「病気」の原因の一つと考えられています。 NHKでもこの点が強調されていましたね。
細胞の制御(アポトーシス等)
細胞が古くなったり損傷を受けたりした時、「プログラムされた細胞死」(apoptosis) を促す信号を出す役割があります。
必要なものをタイミングよく除去することで、生体の恒常性を保つのに役立ちます。
カルシウムの貯蔵/細胞シグナル伝達
細胞内でカルシウムイオンを取り込んだり放出したりして、細胞内のシグナル(情報のやりとり)に関与する機能があります。
代謝調節および物質の分解
糖質、脂質、たんぱく質などの分解・代謝に関わる反応がミトコンドリアで進行します。
トリカルボン酸回路(クレブス回路)、電子伝達系などが代表的な例です。
老化との関連
年を取るにつれて、ミトコンドリアの数や機能が低下する、あるいは効率が落ちることが観察されています。
これが全身の疲れや回復力の低下、見た目の老化、さらには免疫機能の低下などにつながる可能性があるそうです。
母系遺伝
ミトコンドリアDNAは基本的には母親から子へ遺伝します(精子側のミトコンドリアは受精後に除かれることが多いため)
このミトコンドリア、個人的には老化も気になるところですが、妊活でも注目されています。
それについてはまた次回。