ツボには意味があってその名前がついている、と昨日のブログでご紹介しました。
その中でもいくつか動物の名前がつくものがあるんです。
魚、虎、鶴、鳩、龍…。
まるで体の中に“小さな動物園”があるような?!
魚際(ぎょさい)〜魚のヒレのあたり〜
親指の付け根、手のひら側のふくらみにあるツボ。
手を広げると、ここがまるで魚の腹のようにふっくらして見えることから「魚際」と呼ばれました。
肺の経絡に属し、咳や喉の痛み、乾燥にも効果的。
水の中を泳ぐ魚のように、ここを刺激すると「呼吸がなめらかになる」ともいわれます。
魚のように、軽やかに“息をする”ためのツボなんです。

虎口(ここう)〜虎の口に気を集める〜
親指と人差し指の間のくぼみ、ここが「虎口」。
武道や気功では、「気を出す口」としてとても重要視されます。
ツボの正式名称としては「合谷(ごうこく)」がここにあり、
万能ツボとして有名です。
「虎の口」という名は、力強さ・生命力の象徴。
東洋医学では、手の中に“虎の力”が宿ると考えられていたのです

他にも
・鳩尾(みぞおち)…鳩の尾のように少し突き出た胸の下。
・馬尾(ばび)…脊髄の末端を「馬のしっぽ」にたとえた言葉。
・鶏足(けいそく)…足の筋が浮き出る部分を「鶏の足」にたとえた古い表現。
古代の人々は、自然や動物の姿に「身体の形」を重ねていました。
つまりツボの名前は、身体の詩でもあり、自然観の地図でもあるんです。
ツボの名を眺めていると、
人の体はまるで自然界の縮図のよう。
風が吹き、池があり、鶴が舞い、虎が息づく——
そんな世界を指先で感じるのが、東洋医学のおもしろいところだな、と思っています。