5月病というものは聞きますが、夏休み明けの「8月病」とかは聞かないのはなぜなんでしょう。
言葉はないけれど、長いお休み明けっていうのはどうしても憂鬱になったりしやすいかもしれませんね。
お休み明けで生活ペースを戻すのにパワーが必要
仕事がたくさん溜まっているのをこなすのにパワーが必要
気・血の消耗はしやすいように感じます。
東洋医学で「うつ病」という名前はさすがにありませんが、うつ病に近い病態については古典にも記載があります。
うつ病というのは、多くの人がかかるもので15人に1人が一生のうちに一度はうつ病にかかると言われています。
症状としては、
・絶え間ない悲しみがある抑うつ気分
・物事に対する関心や興味が低下してしまう
・体重の増減
・食欲不振
・疲れやすい
・眠れない、中途覚醒してしまうなどの睡眠障害
などなど、症状は挙げたらキリがないくらいあります。
うつ病だけでないと思いますが、うつ病の患者さんでお薬の効果がないのは30~40%いらっしゃるそうです。
そこで、東洋医学的アプローチをすることが世界で注目されているそうです。
お薬の効果は感じられても、副作用が辛いということもあるので、鍼灸治療はそういう方にはいいのかもしれません。
西洋医学的なエビデンスとして、うつ病に効果がある理由は
鍼灸治療の前後で前頭葉の血流が大きく改善することが分かっています。
脳の神経細胞の活動が活発になって、うつ病の改善が期待できると考えられています。
と、これは、西洋医学的観点からみたお話。
東洋医学的にはざっくりですが、精神的な負担がかかり続けることによって
気・血が消耗してしまい、さらに、脾・肝の臓器の働きが低下して気・血が作られにくいこともあると考えます。
肝気鬱血(かんきうっけつ)
肝の疏泄作用が低下してしまって、気の巡りが悪くなり、一時的ではなく、長期的に気分がふさぎ込んでしまったり
やる気がなくなったりする。
また、「陰血」が不足して、肝が滋養されなくなることも原因と考えます。
心脾両虚(しんぴりょうきょ)
気・血を作ったり、巡らせる働きは脾・心がいっしょに行っているので、
食事の不摂生が続いたり、早食いが続いたりすると脾の働きが低下してしまって、
水穀の精微(すいこくのせいび)=食べたものから得る栄養素が全体に不足してしまい、
心にも運ばれず、心・脾が行う気血を巡らせる力が衰えて
精神不安・精神疲労・無力感などの症状につながると考えます。
これだけでなく、他にもあるのですが、代表的にはこのように考えます。
気・血を補充することは大切なのに、食べられなかったり、食べ過ぎてしまうことで脾胃の働きが低下してしまったり
眠れなかったりするので、どこかでうまくリセットしてあげないと長引く原因になってしまいます。
このあたりをアプローチしていくのが鍼灸治療なんですよ。