閉経してから数年経つと、子宮や卵巣は萎縮して機能が終わっていきます。
閉経の概念は最終月経から1年間生理がないことなので、最終月経から2年後、3年後におりものがあると
なんだろう、って思う方が多いと思います。
今回は、よくある原因についてのことですが、閉経しても、婦人科疾患になることがあるので
キチンと受診することを強くお勧めします。
「おりもの」の原因とは?
萎縮性膣炎と言われるものが原因のことが多く、閉経後の女性に多くみられる症状で、女性ホルモン(エストロゲン)の低下により膣粘膜が薄く、乾燥しやすくなることで起こります。
その結果、かゆみ・痛み・乾燥感・性交痛・おりものの異常・頻尿や尿道の違和感などが現れることがあります。
ホルモンの変化に伴う自然な体の移り変わりとはいえ、生活の質(QOL)に影響するため、気になる方も少なくありません。
病院での対応としては、
・ホルモン補充療法(エストロゲンの局所投与など)
・保湿剤や潤滑ジェルの使用
・感染症がある場合は抗菌薬治療
といった治療が一般的ですが、特に何もお薬が処方なく、という場合も多いかもしれません。
東洋医学の視点から見る萎縮性膣炎
東洋医学では「膣炎」や「萎縮」という病名はありませんが、症状を「気血水のバランス」や「臓腑の働き」からとらえます。
〇 腎のエネルギー不足(腎陰虚)
女性の生理・妊娠・更年期などの変化は「腎」と深く関わります。閉経後、腎の陰(潤いを与える力)が不足すると、膣の乾燥や熱感が出やすくなります。
→ 口や喉の渇き・ほてり・寝汗・耳鳴りなども伴うことが多いです。
〇血の不足(血虚)
血が不足すると、粘膜に栄養や潤いが届かず、乾燥やかゆみを生じやすくなります。
→ 肌や髪の乾燥・不眠・めまいを伴う場合もあります。
〇気血の巡りの滞り(瘀血)
閉経後は血の流れが滞りやすく、骨盤内の循環が悪くなると膣の違和感や痛みにつながることがあります。
→ 下腹部の張り・刺すような痛み・手足の冷えがサインです。
【東洋医学的なケア方法】
食養生
黒ごま・黒豆・山芋・くるみ → 腎を養う
クコの実・なつめ・ほうれん草 → 血を補う
温かいスープや雑炊など消化にやさしいもの
生活習慣
下半身を冷やさない
適度な運動やストレッチで血流を促す
睡眠をしっかりとり、腎の休養を大切に
萎縮性膣炎はホルモン低下による自然な変化ですが、放っておくと不快症状が長引き、生活に影響します。
西洋医学の治療をうまく取り入れつつ、東洋医学的に「腎を養い、血を補い、巡りを整える」視点で体をケアすることで、より快適に過ごせるようになると思います。
日々の生活の改善からの症状の変化は緩やかではありますが、よくなってきたら少しさぼってもからだは保ってくれることが多いですよ。