女性でも薄毛で悩んでいる方、結構いらっしゃると思います。
「最近、抜け毛が増えた気がする」
「シャンプーのたびに、こんなに抜けて大丈夫?と思う」
「特に生活が変わったわけではないのに、髪が薄くなってきた」
実は、強いストレスや心身の疲労は、髪の毛の成長にも影響することがあります。
今回は、ストレスと抜け毛の関係を西洋医学と東洋医学、それぞれの視点から考えてみます。
ストレスで、なぜ髪が抜けるの?
髪の毛には「毛周期」という、生えて、成長して、抜けるサイクルがあります。
通常は多くの髪が成長期にありますが、強いストレスや発熱・病気・出産・急激なダイエットなど、身体に大きな負担がかかると、一部の毛根が早い段階で「休む時期(休止期)」へ移行することがあります。
これを休止期脱毛といいます。
特徴のひとつは、ストレスや体調を崩した「その直後」ではなく、数か月たってから抜け毛が増えることがあるということ。
「そういえば、2〜3か月前にすごく大変なことがあった」というケースもあります。
ストレスが一時的なものであれば、身体が元の状態に戻るにつれて抜け毛も落ち着き、髪のボリュームが回復していくことが多いとされています。
ただし、抜け毛の原因はストレスだけではありません。
女性型脱毛症や甲状腺の病気、栄養不足など、別の原因が隠れていることもあります。
「ストレスのせいかな」と決めつけず、急に抜け毛が増えた場合や、長く続いている場合は皮膚科などで一度確認しておくことも大切です。
東洋医学では、髪は「血の余り」
東洋医学には、
「髪は血の余り(血余)」
という考え方があります。
ここでいう「血(けつ)」は、単純に血液そのものだけを指すわけではありません。
身体のすみずみに栄養を届け、皮膚や髪、爪などを健やかに保つものとして考えます。
つまり、
血が十分にあり、巡っていることは、健やかな髪を育てるためにも大切
ということ。
反対に、血が不足する「血虚(けっきょ)」の状態では、
・髪が細くなった
・抜け毛が増えた
・髪が乾燥する
・ツヤがなくなった
・爪が割れやすい
・疲れやすい
・めまいや立ちくらみがある
などの変化が出ることがあります。
ストレスと「肝」の関係
東洋医学では、ストレスや感情の影響を考えるときに「肝(かん)」が重要になります。
肝には、身体の中の「気」をスムーズに巡らせる働きがあると考えます。
ところが、強いストレスが続くと、
ストレス
↓
気の巡りが悪くなる
↓
身体全体の巡りが滞る
↓
血の巡りにも影響する
という状態になりやすいと考えます。
そのため、ストレスによる抜け毛を考えるときには、単純に「髪だけの問題」と考えるのではなく、
ストレスによって身体全体のバランスが崩れていないか
を見ることが大切なのです。
「ストレスで食べられない」ことも髪に影響します
もうひとつ忘れてはいけないのが「脾(ひ)」です。
東洋医学では、食べたものから身体に必要な「気」や「血」を作る働きに、脾胃が関わっていると考えます。
ストレスが続くと、
「食欲がない」
「胃が重い」
「食べるとすぐお腹いっぱいになる」
という方もいれば、逆にストレスで甘いものばかり食べたくなる方もいます。
十分な栄養をとれない状態が続けば、もちろん髪の材料も不足してしまいます。
つまり、
ストレス → 肝の働きが乱れる→ 脾胃にも影響する→ 気血を十分に作れない→ 髪を養えない
という流れも考えられます。
西洋医学でも、過度なダイエットや栄養不足などが休止期脱毛のきっかけになることが知られています。
年齢を重ねると「腎」も大切に
さらに東洋医学では、髪は「腎」とも深い関係があると考えます。
腎は、成長や生殖、老化など、生命力に関わる「精」を蓄えるところ。
そのため、年齢とともに髪が細くなったり、白髪が増えたり、髪のボリュームが減ってきたときには、「腎」の衰えも考えていきます。
特に女性は、更年期前後になるとホルモン環境も大きく変化します。
「最近、髪のハリやコシがなくなった」
「分け目が目立つようになってきた」
という変化があれば、単純なストレスだけではなく、年齢による身体の変化も含めて考える必要があります。
髪を守るために、まずできること
抜け毛が気になると、つい育毛剤やヘアケア用品など「髪そのもの」に目が向きます。
もちろんそれも大切ですが、身体の土台を整えることも忘れないでください。
① 無理なダイエットをしない
髪を作るためにも、十分な栄養が必要です。
特に、たんぱく質・鉄・亜鉛などを含め、偏りのない食事を心がけましょう。
② 睡眠を大切にする
「寝る時間を削って頑張る」ことが続いていませんか?
身体の回復には休息が必要です。
③ ストレスをゼロにしようとしない
ストレスをなくすことは簡単ではありません。
だからこそ、
「ストレスをなくす」よりも、
ストレスを溜め込んだままにしない
ことを意識してみましょう。
散歩をする、湯船につかる、好きな香りを楽しむ、誰かと話す、何もしない時間を作る。
小さなことで十分です。
④ 髪だけでなく身体を見る
抜け毛が気になったときこそ、
「最近ちゃんと眠れているかな?」
「食事はとれているかな?」
「ずっと気を張っていないかな?」
「疲れを感じても頑張り続けていないかな?」
と、身体全体を振り返ってみてください。
鍼灸では「髪」だけを見ません
鍼灸では、抜け毛そのものだけを見るのではなく、
ストレス、睡眠、胃腸の状態、疲労、冷え、月経、更年期など、その方の身体全体の状態
を見ながら施術を考えていきます。
ストレスで「気」が滞っているのか。
血が不足しているのか。
胃腸が弱って、気血を作る力が落ちているのか。
年齢による変化で「腎」の力が弱っているのか。
同じ「抜け毛」でも、背景にある身体の状態は人それぞれです。
だからこそ、
「髪をどうするか」だけではなく、「なぜ今、髪が抜けているのか」
を一緒に考えることが大切だと考えています。
髪の変化は、身体からの小さなサインかもしれません。
最近ちょっと頑張りすぎているな、と感じたら。
髪だけでなく、自分の身体にも少し目を向けてあげてくださいね。